【小論文の極意】課題文型小論文の基礎知識

課題文型小論文の対策!

 

 

ここでは、「課題文型の小論文」について、お話していきたいと思います。

小論文の出題形式は、

 

「テーマ型」
「課題文型」
「データ分析型」
 

の三つが存在します。その中でも大学入試において「課題文型小論文」は、過去の出題を統計的に見ても、圧倒的に多く、さらに企業や公務員採用試験でもその傾向がみられます。

それぞれの型によって、書き方のコツがありますが、今回は、課題文型に限定して、その内容とコツについて、解説します。

ではさっそく見ていきましょう!

 

課題文型小論文の特徴

 



課題文型小論文を書くためには、下記のつの要素を意識しなければなりません。

 

➀「筆者の主張を理解する」
②「自分の意見を根拠立てて述べる」
 

この二つの内容が小論文の中に必要な要素です。
参考に「岩手大学人文社会学部」の過去問題をみてみましょう。




参考

 自己責任論は、格差社会の克服を妨げる強力なイデオロギーである。しかし自己責任という言葉が広く使われるようになったのは、最近のことである。主だった国語辞典のなかで、この語を収録しているのはおそらく『広辞苑』だけで、収録されたのは2008年に改訂された第六版からである。これによると自己責任とは、「自分の判断がもたらした結果に対して自らが負う責任」だという。新聞データベースを検索してみるとすぐにわかるが、この言葉がマスコミ等で、最初に使われるようになったきっかけは、1990年代後半のいわゆる「金融ビックバン」である。その文脈は、金融機関に対する相次ぐ規制緩和によって、リスクの高い多種多様な金融商品が出回るようになったが、損失を出す可能性があるから、これらを買って資産運用するのは「自己責任」で、というものだった。このような自己責任論なら、理解はできる。運用するだけの資産があって、その運用のしかたを自ら決定したならば、その結果を引き受けるのは当然だろう。(以下省略)

(橋本健二『新・日本の階級社会』講談社現代新書 2018による。)

※ここでは、例文とするため、過去問題の一部を省略した。




このようなものが、課題文として挙げられ、それについての意見や、傍線部文の説明などが出題される。岩手大学人文社会学部では、この後さらに文章を読み、

「傍線部の筆者の主張を読み取る」
「自己責任論の自分の意見を600字で述べる」

 

という2つの問いが課せられます。

課題文型小論文で、まず皆さんがやらなければならないことは、筆者の意見を読み取ることです。これはなぜかというと、この出題形式は「課題文型」と書いてあるとおり、「課題文を読んでから自分の意見を述べる」ことが求められているからです。

「テーマ型小論文」であれば、その論題に対し、自らの意見を根拠立てて述べることが求められますが、「課題文型小論文」では、まず、課題文の主張を理解し、それに対しての自分の意見を根拠立てて述べていく必要があります。

そのため、基本的に筆者の意見に賛同するか、反対するかの二極化が意見を述べる際に考えなければならないのですが、まず初めに取り組むのは「筆者の主張理解」です。

入試小論文では、前者の筆者の主張理解が重視されてきているので、主張理解を中心に話していくと良いです。

 




筆者の主張を理解するコツ

 

 

筆者の意見を理解するためには「コツ」をつかむことが大切です。

筆者の主張をつかむという内容は、皆さんご存じだと思います。なぜなら、小学生・中学生の国語の授業で確実に触れているからです。当たり前ですが、国語の授業はこういった小論文作成時でも非常に活躍してくれます。

筆者の意見を理解する方法として、私がおすすめするポイントは下記の2つです!



筆者は一般論(常識論)を言わないということ。
筆者が世の中に対して感じている疑問を見つける。


これが筆者の主張を理解するために最も大切なことだと私は思います。

まず①の一般論を言わないということですが、当たり前ですよね。一般論を主張したところで、世の中に深く浸透しているものですから、それでは今後の未知なる世界の研究とは言えません。研究者は常に先を見つめて、世の中に対する本質や未来を探求しています。

そんな方たちが、世論について、それを元にした発信をしたとしても、ごく当然のことは言いませんよね。そのため、一般論は言いません。一般論と筆者の意見におけるパラドックス(逆説)を見つけること。これが重要です。

②の筆者が世の中に対して感じている疑問を見つけるについてですが、先ほど述べたように、筆者は一般論を言いません。筆者の述べる意見がどういったものかというと、「一般論(常識論)」を「完全否定」するのではなく、むしろ「一般論(常識論)」の「危うさ」を「追及」したものです。

そのため、筆者の意見は「一般論への違和感」からくるものなのです。この違和感にしっかりと気づくことができれば、筆者の主張は理解できたようなものなのです。私たちが当たり前だと思っていることを書きだし、それについての「危うさ」を追求していくので、「危うさ」の部分を見つけることが大切です。

だいたいの文章で「一般論の否定」が書かれているので、まずは文章中の「一般論」をみつける。そのあと、筆者の感じる違和感を探っていくことが主張を理解するための手順です。

 

 

 

まとめ

 

 

いかがでしたか?
今回は、「課題文型小論文」の内容とコツを解説しました。課題文型小論文は大前提として、「筆者の意見を理解する」必要があります。これを抜きにしては、次に必要な要素である「自分の意見」が成り立ちません。

筆者の意見を理解できるように、今回紹介した「コツ」を使って、課題文をたくさん読んでほしいと思います。

もちろん、筆者の意見となりそうな文に関しては、線を引き、わかりやすくしておくことも大切です。次のステップは、「課題文型小論文の書き方」ですね。書き方にも「コツ」が存在しますので、しっかりと理解していきましょう!

この記事はこちらの本を参考にしています。
非常にわかりやすく小論文の書き方や考え方が説明されていますので、読んでみてはいかがでしょうか?小論文の根本を教えてくれます。

 

 

 

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