前回のコラムに引き続き、私が添削をしてきた経験から、
「こういう人は小論文試験で合格できない」
ということについてお話していきたいと思います。
ちなみに前回のコラムはこちら!!
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小論文試験に合格しない人ってどんな人? こんにちは!宇田川春也です。 実は最近ふと思ったことがあります。 それは、 ラフなスタイルで文章を執筆したい ということです。このサイトを開設してから[…]
毎年何百人もの小論文添削を行なっていると、小論文試験に合格できない人の特徴が見えてくるものです。一生懸命勉強している人でも、残念ながら今回ご紹介する1つの枠組みから抜け出すことができずに、涙を流すことが多々あります。
小論文試験はもちろん一発勝負です。
その人がどれだけそれまでに頑張って練習してきても、結果が全ての世界。
当日にどこまで説得力のある文章を書く事ができるのか。これだけです。
テクニックなどではありませんが、今回お話することは部活などを一生懸命頑張ってきた人が陥りやすいという特徴があります。
特にそういった傾向がある人は、是非念頭に置いていただきたいと思います。
では、今回お話する小論文試験で不合格になってしまう人の特徴とは何でしょうか。
それは、
「道徳的な考えのみにフォーカスを当ててしまっている」
という特徴です。
道徳というと、小学校の時に学んだ「道徳教育」を思い出す人が多いと思います。
道徳教育とは、教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき、自己の生き方を考え、主体的な判断の下に行動し、自立した人間として他者と共によりよく生きるための基盤となる道徳性を養うことを目標とする教育のことを言います。
道徳については、各校で様々な取り組みが行われており、この目標に準じたシステムが構築されています。例えば、生命観を養うため、動物の飼育や、生きるために必要な知恵として、野菜の栽培などを行います。
こういった教育により、人間は「生きる力」を養っていくのです。
「嘘をついてはいけない」
「食べ物を無駄にしてはいけない」
「困っている人がいたら助けてあげる」
「自分に厳しく、人に優しく」
など、他者と共存する上では必要不可欠な道徳性を養うことで、私達人間は、より平和で住みやすい、秩序ある世界を創造していると言えます。
しかし、小論文試験では、この「道徳性」がかえって足を引っ張る場合があります。
それはなぜでしょうか?
人間として正しいとされている生き方や考え方が足を引っ張るとはどういったことなのでしょうか。
ここで一端、小論文の基本原則を思い出しましょう。
小論文に必要な力はいかに「論理的」な文章を書く事ができるかということです。
論理的な文章とは、客観的な事実に基づいて分析がされていて、筋道の通った文章のことを意味します。論理的な文章を作成する上で、不必要な概念は「感情」です。筆者が「感情」を優先した文章にしてしまうと、それは論理的な文章と呼ぶことはできません。
論理的な文章は、上の通り、事実に基づいた客観的な考察が必要です。だから、「感情」を優先するような主観的な文章を「論理的」と呼ぶことはできません。
上記の内容を踏まえて考えると、「道徳性」の強い人が、小論文で間違った方向へ論を展開していってしまうのが多少なりとも理解できたのではないでしょうか。
道徳性の強い人は、物事を「正義」と「悪」で考えがちです。これは、いわば固定概念であり、自分の中に存在する基準です。例えば、「戦争の是非」について述べる場合、道徳性が強い人は、どうしても「命の重み」を基準にして考えてしまいます。そこから生まれる利益などには目を向けず、あくまで人間の心を重視した思考へと、勝手に導かれてしまうのです。
現に、私が去年担当した生徒さんは、この道徳性という呪縛から抜け出せずに苦労していました。とても人間性がしっかりした生徒さんで、部活動などでも大いに活躍し、看護大学合格に向けて、一所懸命小論文対策をしました。
しかし、嫌味なことに、あまりの性格の善良さゆえ、どうしても「心」を大切にする感情論となってしまうのです。
善悪を自分の判断に委ね、文章にさも自らの化身を生み出すかのような、とんでもなく主観的な文章を作ってしまうのは、その人が今までどれだけ道徳的な考えを大切にしてきたかによります。
逆に、道徳的な考えをあまり持たない人は、冷酷ゆえ論理的な思考を見出すことがたやすいようにも思えます。
今までの人生で「道徳心を磨いてきた人」はこういった主観的な文章になっていないか、1度自分の文章を、添削してもらうことをオススメします。
今気付けば、このクセは直すことができますので、安心して下さい。
ちなみに、「道徳」は人間にとって、非常に大切なことです。
決して否定しているわけではありません。
ただ、論理的な文章を書く小論文においては、
時に仇となるかもしれませんよ。。。
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