最近の大学入試小論文試験や、企業採用の小論文試験・公務員採用試験では、課題文型小論文の傾向が強いです。
添削活動をしていて、実に課題文型が多く、そして、間違った解答・書き方をしている方も多数いることに驚きます。
課題文型小論文の書き方については、本サイトの別の記事でご紹介していますが、中々難しいものですよね。もし宜しければ、ご参考なさってください。
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課題文型小論文の対策! ここでは、「課題文型の小論文」について、お話していきたいと思います。 小論文の出題形式は、 「テーマ型」「課題文型」「データ分析型」 の三つが存在します。その中でも大学入試において「課題文型小論[…]
今回は、そんな課題文型小論文でよくある解答ミスについて言及していきたいと思います。これは、実際に年間500題以上の小論文を添削している中で発見した共通事項ですので、出来る限り注意したい過ちです。また、こういったミス傾向は、受験者全体の傾向ですから、今回ご紹介する内容にあてはまるような場合は、その流れで大幅に減点される可能性があるため要注意です!!
では、実際に課題文型小論文の減点対象内容について、ご紹介していきますね♪
課題文型小論文の減点対象内容
課題文型小論文における、減点対象内容を記していきたいと思います!!!
以下の点に注意して、小論文の練習にあたりましょう!!
課題文の内容をそのまま書いている
課題文型小論文は、予め課題である文章が用意されており(字数や内容はそれぞれ異なるが、大学入試の場合、その学部・学科に関与することが多い)、それを読んだ上で、自身の意見を主張していく必要があります。
これはテーマ型と違って、誰かがある種の違和感を覚え、その主張を読んだ上での解答となるため、自分の意見として書いていたつもりが、いつの間にか筆者と全く同じ意見・理由を述べていたということに陥りやすいです。
そして、このように筆者の主張を解答用紙に繰り返す行為は、課題文型小論文において、最も大きな減点対象となるので気を付けましょう。
対策
こういった過ちを防ぐためには、余白スペースに筆者の考えに賛同するのか反対するのかを書き、反対の場合は課題文をそのまま書いてしまうことはないでしょうが、賛同する場合は、筆者の主張における「理由」と「根拠」を要約してメモ書きしましょう。
そうすることで、「そのまま書いてしまう」という事態を未然に防ぐことができます。
ただ、大抵の試験では、まず課題文の概要や要約を書かせるというパターンが多いので、もしこれに当てはまるようでしたら、メモを書く必要はありません。(ただし、構成を考える上でメモ書きは必須)。
課題文の内容を踏まえた答案でない
課題文型小論文は、基本的に課題文の内容を踏まえた答案でなければなりません。親切な大学や企業は、わざわざ「課題文の内容を踏まえて、あなたの意見を600字以内で述べよ」などと書いてはくれますが、このことを書いてはくれない場合も往々にしてあります。
1つ例を挙げてみましょう。
近年、TwitterやInstagramなどSNSが爆発的人気を生んでいる。その中には、自身の生活環境を伝えるものや、愚痴や不満、幸福感など、感情的な心内のみを伝えるものもある。さらに、「バズる」といった、ある種の噂になった投稿などは、刹那に世界中へ情報が拡散され、それがもとで大金を稼いだり、著名になったりするのである。このことは、情報社会において必然たる事象であるかもしれないが、それゆえに筆者は危機感を抱いているのである。
かなり短い文章となってしまいましたが、この例に沿って課題文の内容を踏まえるとはどのようなことか。そして、その対策はいかにあるかを解説していきます。
まず、「課題文の内容を踏まえ」た解答として、正しいものは次の2つの例のうちどちらか見ていきましょう。
《 解答例1 》
TwitterやInstagramなどのSNSは、現在若者の間で人気の絶頂期を迎えている。そもそも、私がこのようなSNSという情報伝達媒体が現在人気である理由を、人々の繋がりが希薄化したからだと考える。
《 解答例2 》
私は、筆者の「SNS」に対する「危機感」という主張について、肯定的な立場をとりたい。なぜなら、SNSの利用者が増えることで、世界中の人々がより高度なメディアリテラシーを身につけなければならないからだ。
どうですか?
これら2つの解答例を見て、どちらが課題文の内容を踏まえた解答となっているでしょうか。
もちろん正解は2の解答例です。
今回は、短めの文章で考えて見ましたが、見分け方は簡単です。まず解答例1では、筆者の主張である「SNS」に対する「危機感」を無視していることに気が付きます。
「危機感」というのは、SNSによる社会的な影響がマイナスの方向に働いていくのではないかという意味を包含しています。課題文の内容を踏まえるというのは、この筆者の意見に対して、あなたはどのように考えますか?ということなのです。
このことが減点対象となる理由は、「課題文を読まなくても書ける答案」だからです。なぜ、課題文が設置されているのか、良く考えれば当然の減点対象ですよね。
対策
このように、「課題文の内容を踏まえた答案」を作るためには、答案の初めに、「私は、筆者の○○という主張に対して、賛成or反対である。」と述べてしまうことがポイントです。
もし、設問内容に、
というものだったら、200字程度の要約をした後に、段落を変えて、「私は、筆者の○○という主張に対して、賛成or反対である。」という形で述べていきましょう。
いずれにせよ、課題文型小論文において、筆者の主張を無視した解答を作ってはいけません。これも先ほどの「課題文の繰り返し」同様で、大きな減点対象となりますから、注意しましょう。
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あまりにも現実的でないもの
これは全ての小論文出題形式に言えることですが、自分の解答があまりに現実的でないものだと、減点対象になります。
例えば、
「格差社会が問題となっているが、その対策としてどのようなことが考えられるか。」という内容であった場合、格差の解消には教育の力が必要不可欠であり、教育ローンや奨学金制度の見直し、全国民への平等な教育システムの徹底を図るべきだと考える。」
-と-
「格差の解消のため、税率の調整を試みるべきである。高所得者に対しては、現在よりも大幅に所得税を課し、年収200万円以下のいわゆる低所得者には、税をかけないなど、税制度に対する抜本的な改革が必要だ。」
では、現実的な問題として大きな違いがあります。前者は、なるべく子ども達に均等な教育を施す事で、学力における格差の解消が見込まれ、それがいずれ格差の解消に繋がるのではないかということです。
しかし、後者の内容だと、「今存在する税制度の抜本的な改革が必要になり、それは所得を多く得ようと頑張っている人の尊厳を潰す結果になるかもしれない。確かに、所得が多い人には、今も多くの税金を納めてもらっているわけだが、これ以上の負担をかけてしまうと、そもそも頑張ろうという気持ちがなくなり、国外への移籍等にも繋がるでしょう。
このような人達が頑張ってくれないと、日本全体の経済力が落ちていくのは目に見えています。よって、所得税を大幅に引き上げることは無理な解決策であり、「突飛」な内容として受け取られてしまうでしょう。
自分が述べる解決策や対策は、なるべく現実的であることが重要です。
「非現実的」で「突飛」な内容にならないよう、出来る限り「現実的」で「オリジナリティ」な解答を導き出せるよう、よく思索することが大切です。
対策
試験前にできる対策としては、日頃から時事問題に目を向けることでしょう。また、大学であれば、その学部に沿った課題文が提示されるでしょうから、その学部が世の中においてどのような面で必要になってくるのかを考え、本などから知見をもらい、自身の考えをあらかたまとめておくと良いでしょう。
ただし、参考書等に書かれている解決策等をそのまま引用しないように。小論文の採点者が最も嫌うものは、固定概念に囚われた、柔軟性のない考え方です。
課題文自体は、地球環境・科学と人間・AIと社会・幸福とは何か・持続可能な未来について等、様々です。
おススメ参考書(知識系)
大学入試小論文の完全ネタ本シリーズ
難易度 ★★★☆☆
小論文作成において、知識がなければ何も書くことはできません。各分野において、最低限しらなければならない知識は、この参考書を読めば概ね分かります。
この参考書の良い所は、分野別に分かれているところと、実際の出題例や模範解答など、知識のみならず、実践的な思考能力も養うことができる点です。
小論文これだけ!シリーズ
難易度 ★★☆☆☆
小論文の世界では言わずと有名な樋口裕一先生の著書です。とにかく分かりやすく、論理力のトレーニングになります。
シリーズ化されているため、大学入試であればその学部にあったシリーズを選ぶことができます。
定番中の定番ですので、かなり多くの受験生や試験を控えた社会人の方が愛用している参考書だと思われます。
私も全てのシリーズを読みましたが、全体的にまとまりがあって、よくある難解な言葉ばかり使う参考書ではなく、読者視点で分かりやすい言葉を使っているので、非常に読みやすいです。
問題点のみの羅列で終わっている
課題文型小論文では、「課題文に対するあなたの意見を述べよ。」というものが多いです。しかしながら、残念なことに、自身の意見を述べずに、その課題文に対する問題点の羅列のみで終わってしまっている文章がよく見られます。
小論文で最も肝心なのは、「問題点を見つけること」ではなく、「問題点に対する自分の考え」です。
そして、その考えが深い思案であればあるほど高評価を得ることができます。
この過ちを犯しやすい構成は、「私は、○○について次の3つの観点から反対の立場をとる。まず1つ目は、○○」というような小論文の構成パターンです。
この書き方は、私も小・中学生の時に教わったことがあります。担任の先生、または国語の先生に、「私は○○について、○○だと思います。理由は3つあります。」と書けば、ある程度文字数を稼ぐことができると。
この書き方メソッドは、確かに有効的なものだとは思いますが、400字~600字程度の文字数の場合、結局その3つの理由を深くまで考察し、言語化するのには物理的に無理があるように思います。
だったら、1つの理由に絞って、それを深めていった方がよっぽど説得力のある内容となるのではないでしょうか。
何個かの理由がありますタイプの書き方をしてしまうと、文字数的な問題でどうしても問題点の羅列のみで終わってしまうと感じます。つまり、この手の書き方を得意としている人ほど、問題点の羅列のみで終わってしまい、その問題点に対する自分の意見を述べることができないがゆえに、低評価となってしまうのです。
対策
問題点の羅列のみで終わってしまわないようにするためには、構成を工夫することです。
小論文の構成については、こちらの記事に詳しく書かれていますので、是非ご参考になってください。
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【2020年度】小論文はまず「構成」を理解しろ! 今回は、小論文の基本的な知識として、「構成」のお話をしていきたいと思います。 小論文作成にあたっては、この基本的な「構成」が使えるようになれば、誰でも簡単に論理的な文章を作るこ[…]
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自分の意見が述べられていない
課題文の主張に対する、自身の意見が書けていないものも、もちろん減点対象となります。当たり前なので、詳しくは書きませんが、自分の意見が書けていない人は、「課題文の繰り返し」や「問題点の羅列」というような特徴があります。
要するに、今まで説明してきた内容を克服することができれば、おのずと自分の意見が明確に述べられている文章を作ることができるのです。
対策
「課題文の繰り返し」
「問題点の羅列」
を克服することで、おのずと明確な意見が述べられるようになります。
結論が中途半端
結論は、自分の主張を再度述べる部分です。
結論部分で主張が曖昧になってしまうと、非常に印象が悪くなります。特に、自身の考えを誰かに責任転嫁しているような結論は最悪です。
例えば、
「医療従事者は考えてもらいたい。」
「政治のことは政治家が考えるべきだ。」
などです。このような結論にしてしまうと、ただただ印象が悪くなるだけなので、絶対にやめましょう。
また、結論が曖昧になるような述べ方、
「この問題については検討の余地がありそうだ。」
「何とかならないであろうか。」
なども今まで述べてきた自分の主張を台無しにしますから、やめておきましょう。
結論部分はシンプルに!今まで述べてきたことを再度述べるくらいにしておきましょう!
結論の書き方については、こちらに詳しく載せていますので、対策も合わせて是非御覧ください。
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結論の書き方はシンプルに! ここでは、小論文における結論の書き方について解説をしていきたいと思います。 ちなみに私は、毎年500名以上の添削をさせて頂いておりますが、 序論の書き出し方同様に、この結論部分の書き方につい[…]
論点をすりかえる
これは全ての小論文試験に言えることですが、問われている内容を自分の都合に合わせて論点を強引に誘導してはいけません。
例えば次のような設問があったとしましょう。
近年、若者が自立できずに、成人をしてもいまだに働かないという事態が多く見受けられる。これは、平成に入ってから社会現象になりつつあり、いわゆる「ニート」という類の人間が増えていることを指す。「ニート」は無業者であり、労働人口のうち通勤・通学を行ってない者のことを指すが、高度経済成長を遂げた日本で、なぜこのような実状が存在するようになったのだろうか。
戦前の日本では、「男は仕事」のように、働くことに対するマイナス面よりも、その美徳を愛する人間が多かった。例えば・・・・・・
設問
「ニート」が増加している理由は様々ですが、そのような人達の働く意欲を沸かせるには、どのような方法があるか。あなたの意見を述べよ。
日本でニートと呼ばれている人は、最近多く見受けられるようになった。我が国におけるニート人口は年々蔵相傾向にあり、2020年には2.7%と、過去最高の推移となっている。このような背景にはグローバル化が大きな影響を与えているだろう。現在の日本は、世界中の人が働きやすい環境をつくるために、あらゆる政策を立てて、外国籍労働者へ寄り添う姿勢をとっている。しかし、それらが原因で、日本人が日本で働けなくなっているのも事実だ。
日本でニートと呼ばれている人は年々増加傾向にあり、2020年にはニート人口が2.7%にまで及んでいる。この結果は過去最高の数値であり、生産人口が著しく減少していることを鑑みると、深刻な社会現象として考えなければならない。このようなニートの意欲を沸かせるためには、まずニートに対して再就職ができるという可能性を多分に示していく必要がある。
これら2つの解答を見て、どちらがより評価の高い解答になるでしょうか?
答えは2です。
なぜ答えが2になるのかというと、解答1では、設問に書かれている「働く意欲を沸かせるにはどのような方法があるか」の内容には触れずに、「グローバル化」という近年の社会状況について言及しているからです。
この設問で大切なのは、「ニートの働く意欲を沸かせるための方法」であって、ニートが増加している背景ではありません。きっと解答1の場合は、この後、グローバル化によって競争社会の激化を招いている。などと述べ、残りの行数が少ないところで、やっとのこと意欲を沸かせるための方法を簡単に述べるのでしょう。
一方解答2では、問題の背景を序論で述べた後に、すぐ設問内容に触れています。こちらが正しい書き方です。
小論文を書く時は、それまでに得た知見のみを頼りにしてはいけません。なぜなら、知見ばかりに気を向けてしまうと、先ほどの解答2のように、論点をすり替えて強引な誘導を行ってしまうからです。
参考書等から得られた知見は、有効に活用すれば強力な武器となります。しかしながら、それだけに囚われてしまうと、先ほどの例のように低評価に繋がりますので、ご注意下さい。
対策
問われている内容を自分の都合に合わせて論点を強引に誘導してはいけません。そのためには、事前に得た知見のみを頼らないようにすることが重要です。
特に大学入試の小論文試験では、読み手が大学教授ですから、簡単に見破られてしまいます。
まとめ
課題文型小論文の減点対象内容は以上です。
簡単におさらいしておきましょう!
➀課題文の内容をそのまま書いている
②課題文の内容を踏まえた答案でない
➂あまりにも現実的でないもの
④問題点のみの羅列で終わっている
⑤自分の意見が述べられていない
⑥結論が中途半端
⑦論点をすりかえる
これらの内容によく注意をして、小論文試験に向けた練習をしていきましょう!
おススメの参考書はこちらでご紹介しております
知見に頼り切った解答は宜しくありませんが、そもそも小論文を書くために知見が必要です。参考書と練習(書いた量)と添削によって、小論文の質はぐんぐんと良くなります。
特に文章を書くことになれていない方は、できる限り早めの対策を心がけましょう。
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