これで接続詞の使い方が分かる!
ここでは、接続詞の練習を、長文を用いて行っていきたいと思います。短文での練習がまだ済んでいない場合は下記のリンクボタンをクリック!
接続詞はこう使う! 今回は接続詞の使い方を実践的に解説します。接続詞は上手く使うことができれば、絶大な効果を発揮します。しかし、間違った使い方をしてしまうと、論理がめちゃくちゃになってしまい、その後の論理展開に支障をきたしてしまい[…]
長文にて接続詞の練習と解説を行うことで、より明確に接続詞の重要性がご理解頂けると思います。それでは、二つの例文問題を解いて、接続詞の重要性や使い方のコツをつかんでいきましょう!
例文による練習「接続詞空欄」
鬼はもともとは人間に見えない存在であった。( ① )、人間はこの恐ろしい存在から逃れるために必死の努力を重ねて、その姿を認識し映像化することに成功した。映像化、( ② )、人びとは鬼の面を作ったり鬼の絵を描くことを通じて鬼を制御する方法を編み出すことができるようになったのである。宮中や寺社での「追儺」、あるいは民間の家々での節分の「豆まき」はそのもっとも典型的な儀礼である。
鬼の姿は筋骨たくましく、肌の色は赤や青、黒などあざやかな色で、虎の皮をつけていると語られることが多いが、そのなかでも頭に生えた一つないし二つの、( ③ )それ以上の「角」が鬼であることの決定的しるしとなっている。鬼にとっての「角」とは、獣性の、攻撃性の、( ④ )男性性の象徴であり、さらには竜(大蛇)の仲間、その後胤であることをも物語っている。
もっとも、こうした招待を現した鬼はそれほどこわくはない。( ⑤ )、正体をかくした鬼、人間の姿に化けている鬼こそ、人間がもっとも恐れている鬼である。人間の皮をかぶった鬼、人間の心に棲みついた鬼―これらの鬼は人間社会のなかで人間になりすまして生活しているのである。そして、さらに恐ろしいことに、人間の皮をかぶった鬼が、心に仏が宿っているような人間さえも「鬼」のラベルをはって追放してしまうという悪企みを行うことがあることである。ここから、鬼と人間のパラドックスが生まれることになったのだ。
○追儺・・・疫病の鬼を追い払う行事。
○後胤・・・子孫。
引用:(『日本を知る101章』 小松和彦)
問題 (①)~(⑤)に入る言葉として、最も適当なものを次の中からそれぞれ選び、記号で答えよ。
(ア)だから (イ)あるいは (ウ)そして
(エ)しかし (オ)すなわち (カ)むしろ
どうでしょうか・・・合格点は5問中3問以上です!接続詞の練習は空欄補充に限りますね!空欄を補充できないと接続の在り方を理解できていないことになってしまいますので、数多く練習をしていきましょう!
それでは解答と解説をしていきます!
解答・解説
前後の文脈を考察して、何が最も適当な接続詞なのかを探っていきましょう!
(①)
解答 (エ) 「しかし」
接続詞解説
まずはどこの文脈内容を把握するべきなのかを抜き出します。
「鬼はもともとは人間に見えない存在であった。( ① )、人間はこの恐ろしい存在から逃れるために必死の努力を重ねて、その姿を認識し映像化することに成功した。」
この部分が、空欄の接続詞を見抜くために理解しなければならない文脈内容となります。
空欄( ① )前後の文脈内容を確認してみましょう!
「鬼は・・・見えない存在」→「その姿を認識し、映像化することに成功した」つまり、「見えない」→「見える」となりますので、前後で逆の関係が成り立ちます。
逆の関係の場合に使用する接続詞は「逆接」の接続詞ですので、(エ)が正解となります。
(②)
解答 (オ) 「すなわち」
接続詞解説
把握すべき文脈はこの部分です!
「鬼はもともとは人間に見えない存在であった。しかし、人間はこの恐ろしい存在から逃れるために必死の努力を重ねて、その姿を認識し映像化することに成功した。映像化、( ② )、人びとは鬼の面を作ったり鬼の絵を描くことを通じて鬼を制御する方法を編み出すことができるようになったのである。」
空欄の前後関係を考察すると、「映像化」=「鬼を制御する方法を編み出すことができるようになった」この前後関係がイコールの意味になることは、鬼の存在について説明している一文前の内容から読み取ります。
本文中には、「鬼は見えない存在」「人間にとって恐ろしい存在」と書かれています。そして、その姿を「映像化」することに成功しました。「映像化」した理由は「鬼の存在から逃れるため」です。つまり、「映像化」は「鬼を制御する方法」でもあるということです。
この文脈の関係性がわかれば、「映像化」を「鬼を制御する方法」として言い換えているのに気付きますね!抽象化されたものを具体的に言い換える接続詞を「換言」の接続詞といいます。
(③)
解答 (イ) 「あるいは」
接続詞解説
把握すべき文脈は下記の内容です。
「鬼の姿は筋骨たくましく、肌の色は赤や青、黒などあざやかな色で、虎の皮をつけていると語られることが多いが、そのなかでも頭に生えた一つないし二つの、( ③ )それ以上の『角』が鬼であることの決定的しるしとなっている。」
空欄の前後関係を考察しましょう!「そのなかでも頭に生えた一つないし二つ」「それ以上」というのは、両者とも「角」を表していますね!「あるいは」という接続詞は「選択」と「列挙」の意味を持つ接続詞です。
この場合両者とも「角」を表したいだけなので、「列挙」の接続詞です。
(④)
解答 (ウ) 「そして」
接続詞解説
把握すべき文脈は下記の内容です。
「鬼にとっての『角』とは、獣性の、攻撃性の、( ④ )男性性の象徴であり、さらには竜(大蛇)の仲間、その後胤であることをも物語っている。」
空欄④の前の文脈では「『角』とは、獣性の、攻撃性の」と言っています。空欄④の後の文脈内容では、「男性性の象徴」と言っていることから、「獣性」「攻撃性」に追加して「男性性」という意味を含ませていますね!
また、助詞「の」が続いていることからも、ここに添加の接続詞「そして」が入るということが推測できます。
(⑤)
解答 (カ) 「むしろ」
副詞解説
把握しなければならない文脈は下記の内容です。
「もっとも、こうした招待を現した鬼はそれほどこわくはない。( ⑤ )、正体をかくした鬼、人間の姿に化けている鬼こそ、人間がもっとも恐れている鬼である。」
これは典型的なパターンです。「~ではなく、むしろ~だ」という形を覚えてしまってください!ちなみにこの「むしろ」という言葉は接続詞ではなく、「副詞」です。
「むしろ」という副詞はよく大学入試の接続詞問題などでも出題されますので、今回は出させて頂きました。また、「むしろ」のあとは、「筆者の主張」になりやすい箇所なので、課題文型小論文の際には、活きてくる知識です!
次は、少し難易度が上がります!
例文「接続詞空欄」
自然科学は、けっして人間や人間社会から切り離された、中立の道具などではないのです。善かれ悪しかれ、その時代その社会の基本的なものの考え方、底流となっている前提と結ばれているものなのです。まして科学が勝手に独り歩きをするなどというのもおかしな話です。科学はもともと人間の営みです。人間を離れて科学だけが歩き出すなどという馬鹿げた話があるわけはありません。この比喩もあまりいただけません。
科学者もまた、ふつうの人間です。科学者だけに科学者であるがゆえの「高潔な」人格を期待したり、特別の倫理観を期待したりすることもできますまい。( ① )現実の科学者がそうでないからといって、裏切られたと感じたり、失望したりするのは愚かなことだと思います。
( ② )に、現代の科学は、その長所も欠点も、わたくしども自身のもっている価値観やものの考え方の関数として存在していることを自覚することから、わたくしどもは出発すべきではないでしょうか。今日の自然科学は、今日のわたくしども人間存在の様態を映し出す鏡なのです。今日の科学者の考えていることは、わたくしどもの時代、わたくしどもの社会の考えていることの、ある拡大投影にほかならないのです。
科学のあり方に改むるべき点ありとするならば、それは、わたくしども自身のあり方に改むるべき点があることを示しているのです。
(『新しい科学論』 村上楊一郎)
問題 (①)(②)に入る言葉として、最も適当なものを次の中からそれぞれ選び、記号で答えよ。
(ア)そして (イ)要するに
(ウ)しかし (エ)また
それでは解答と解説です!
解答・解説
前後の文脈を考察して、何が最も適当な接続詞なのかを探っていきましょう!
(①)
解答 (エ) 「また」
接続詞解説
今回重要となる文脈は下記の内容です。
「科学者もまた、ふつうの人間です。科学者だけに科学者であるがゆえの『高潔な』人格を期待したり、特別の倫理観を期待したりすることもできますまい。( ① )現実の科学者がそうでないからといって、裏切られたと感じたり、失望したりするのは愚かなことだと思います。」
空欄の前の文脈内容「科学者もまた、ふつうの人間です」に注目です。その後の「科学者だけに科学者であるがゆえの『高潔な』人格を期待したり、特別の倫理観を期待したりすることもできますまい」と空欄後の「現実の科学者がそうでないからといって、裏切られたと感じたり、失望したりするのは愚かなことだと思います」というのは、両者とも「科学者がふつうの人間である」ことを前提にした文章となります。
ふつうの人間である科学者は何も高潔な人間ではないということを二つの観点から述べているだけです。よって、ここでは「並列」の接続詞である「また」を使います。
↓↓↓
「科学者はふつうの人間である」
(②)
解答 (イ) 「要するに」
接続詞解説
まずは空欄を補充するために必要な文脈把握です。ここでは、段落が変わる部分のため、1つ前の段落内容と空欄後の内容を考察していく必要があります!
「自然科学は、けっして人間や人間社会から切り離された、中立の道具などではないのです。善かれ悪しかれ、その時代その社会の基本的なものの考え方、底流となっている前提と結ばれているものなのです。まして科学が勝手に独り歩きをするなどというのもおかしな話です。科学はもともと人間の営みです。人間を離れて科学だけが歩き出すなどという馬鹿げた話があるわけはありません。この比喩もあまりいただけません。科学者もまた、ふつうの人間です。科学者だけに科学者であるがゆえの『高潔な』人格を期待したり、特別の倫理観を期待したりすることもできますまい。また現実の科学者がそうでないからといって、裏切られたと感じたり、失望したりするのは愚かなことだと思います。( ② )に、現代の科学は、その長所も欠点も、わたくしども自身のもっている価値観やものの考え方の関数として存在していることを自覚することから、わたくしどもは出発すべきではないでしょうか。今日の自然科学は、今日のわたくしども人間存在の様態を映し出す鏡なのです。今日の科学者の考えていることは、わたくしどもの時代、わたくしどもの社会の考えていることの、ある拡大投影にほかならないのです」
…だいぶ多くなりましたが、この部分から考察する必要があります。
まず、「自然科学は、けっして人間や人間社会から切り離された、中立の道具などではない」「その時代その社会の基本的なものの考え方、底流となっている前提と結ばれているもの」「科学はもともと人間の営み」「科学者もまた、ふつうの人間」のような、キーセンテンスをまとめ、何を言っているのか確認をしましょう。
ここでの、空欄前の文脈内容をまとめると、
となりますね。では空欄後の文脈を整理しましょう。「現代の科学は」「わたくしども自身のもっている価値観やものの考え方の関数として存在していることを自覚すること」「今日の自然科学は、今日のわたくしども人間存在の様態を映し出す鏡」「今日の科学者の考えていること」「ある拡大投影にほかならない」これはつまり、
ということですね。空欄を挟んだ文脈の前後関係を考察していくと、このようなことが分かります。
科学が人間社会から切り離せない理由
≪根拠①≫
科学はふつうの人間によって営まれている
≪根拠のまとめ≫
科学は人間の様態を映し出す鏡
空欄を挟んで前の文脈を、後の文脈がまとめてくれていますね。こういった時に使用する接続詞は「換言」の接続詞です!
そのため、ここでは「要するに」が正解ですね!「換言」の接続詞の仕組みを下記のとおりです!!
↓
抽象的な内容
抽象的な内容
↓
具体的な内容
この仕組みも覚えておくといいでしょう。
まとめ
どうでしたか?
今回は長文を使って接続詞の空欄補充問題から、接続詞の内容を理解するという内容でした。接続詞を効果的に使うことで、文章の論理展開を明瞭にします。
ただし、日本語において、接続詞の多用はあまり良いとされていません。
…そうは言っても、文章作成において、接続詞は使いこなせなければなりません。これからも、接続詞の効果的な使用テクニックについては記事にしていきたいと思いますので、お楽しみに!