問題提起のコツを伝授
今回は、小論文において大切な「問題提起の書き方」について、解説をしていきます。
「【小論文の極意】シリーズ」を読んでくださった皆様なら、小論文とはどのようなものなのかがおおよそご理解頂けたのではないかと思います。
小論文とは
「自分の意見を論理的な内容にすること」
が大前提ですね。
文章構成上、最初に考えなければならないのが、この「問題提起」です。
序論中に問題を提起することによって、「問い」から「答え」に向かっていくプロセスが読み手に分かりやすくなるという利点があります。
なおかつ、文章の書き出しに当たる部分の為、読み手に対する第一印象を左右する可能性が高いです。
書き方を知り、良い問題提起をすることができれば、あなたの小論文は更に魅力的なものとなるでしょう。
まず初めは、問題提起とはについてです!!
問題提起とは
問題提起とはどのようなものでしょうか。
問題提起 |
問題や課題を解決すべき事項として投げかけること。 |
問題提起をよく理解して頂くために、下記の引用文を使用します。
①食べたいときに、いつでも手軽に食べられる。それがインスタント食品の長所である。カップ麺をはじめ、レトルトカレーやスパゲッティーなど、今では、その種類も豊富である。
では、こうしたインスタント食品の普及は、②私たちの食生活を本当に豊かにしてくれているといえるのだろうか。③私はそうは思わない。
引用:「国語表現 改訂版」教育出版
引用文の例で考えると、青傍線②が引かれている「私たちの食生活を本当に豊かにしてくれているといえるのだろうか。」が問題提起となっています。
序論ではこのように、①「事実」②「問題提起」③「意見」を上手く組み合わせることによって、より読み手が理解しやすい、適切な文章表現にすることができます。
参考「序論」についての内容が書かれた記事には、下記のリンクボタンから飛べます。
↓↓↓
小論文はまず「構成」を理解しろ! 今回は、小論文の基本的な知識として、「構成」のお話をしていきたいと思います。 小論文作成にあたっては、この基本的な「構成」が使えるようになれば、誰でも簡単に論理的な文章を作ること[…]
このような序論内容を確認して、多くの人から、
という内容を度々聞きます。
確かに「事実」と「意見」だけでも小論文を書くことは可能です。しかし、そこには「問い」から「答え」という流れまでは生まれません。
また、序論の中にこうした「問い」から「答え」への流れをインサート(組み込み)することによって、読み手の文章読解における潜在認知を呼び起こすことができます。
これはなぜかというと、自分が書いた小論文の読み手が「大人」だからです。さらに、大人といっても、「文章を読むのが得意な大人」だからです。
文章を長年読むことの多かった人は、気付かないうちに、「読解力」というものが身についています。つまり、「問い」から「答え」の流れを潜在的に意識して読んでいるのです。
この潜在意識は序論で「問い」が書かれていることによって、かってに「答え」を導こうとしてくれます。従って、根拠を示す本論部分でも、「問い」の「答え」を常に意識して読むため、意見を理解してもらうのが、楽になります。(あくまで本論部分が論理的であるというのを前提にしています)
また、たとえ「読解能力」に乏しい人が読んだとしても、「問い」を明確にし、「答え」を導くことによって、単純に分かりやすいですよね。
このように、問題提起をきちんと示すことによって、読み手がより理解しやすい文章にすることができるし、書き手も自分の意見が理解してもらいやすくなります。まさに一石二鳥です。
次は、良い問題提起とはどのようなものか見ていきましょう!
良い問題提起とは

→これから意見する物事について、そのことの「是非・賛成・反対」などを両面的に論じることが可能となるものです。つまり、物事がもつ内容、あるいは背景に対立軸を見つけることがポイントです。
※対立軸
・対立する議論・抗争の中心となる事柄。また、 考え方の違いによる、対立する二つの論。
先ほどの例文で考えていきましょう!
食べたいときに、いつでも手軽に食べられる。それがインスタント食品の長所である。カップ麺をはじめ、レトルトカレーやスパゲッティーなど、今では、その種類も豊富である。
では、こうしたインスタント食品の普及は、私たちの食生活を本当に豊かにしてくれているといえるのだろうか。私はそうは思わない。
引用:「国語表現 改訂版」教育出版
赤傍線部が「問題提起」ですが、ここでの対立軸は、
②インスタント食品が、食生活を豊かにしないのか
この2つに絞ることができます。
一つのトピックの背後にこうした対立軸を見出すことによって、自分の意見は更に明確に根拠立てることができます。
また、「問い」から「答え」に向かっての見通しが良くなり、本論を記述する際に益々根拠を的確に示すことができるでしょう。
そして、そこで出た対立軸を元に、疑問を作り出し、「問題提起」とするのです。問題提起後の「意見」に関しては、問題提起「問い」の対立軸のどちらかに賛同し、意見として書き出します。
10題チャレンジ!!
では最後に対立軸を見出すための練習をしましょう!
問 次の論題の問題提起となるような、疑問文を作成してみましょう。(解答例は問題の下にあります)
1 フリーター
2 グローバル化
3 SNS
4 脳死
5 安楽死
6 校則
7 若者言葉
8 新聞
9 宿題
10 部活
《解答例》
1 フリーターは職業といえるのか
2 グローバル化は本当に世界を救うのか
3 SNSは必要か
4 脳死は人の死か
5 安楽死は日本で認められるべきか
6 校則は必要か
7 若者言葉は美しいか
8 新聞はなくなるのか
9 宿題は必要か
10 部活動は日本独特の文化であるか
まとめ
今回は序論の中の一つ、「問題提起」のあり方について、お話しました。
「問い」から「答え」という流れがいかに重要かということはご理解頂けたでしょうか。問題提起は、文章を読みやすくすると同時に、説得力が増します。是非今回の記事をきっかけに、小論文の中に「良い問題提起」が書けるようにしましょう!